フェアトレードという言葉はずいぶん一般的になったのではないか

発展途上国の素晴らしい民芸や伝統的文化を残そうと、現地で流通するときの値段より高く買い取り、生産地の支援につなげるとともに、技術を残していこうとする活動もある

 

なのに。

ここ最近、わたしのところへ持ち込まれる多種の「お願い」の中に、一瞬「安くないか?」と思う依頼が増えてきたように思う。

コロナ感染症が下火になり、普段通りの活動ができるようになってきた今、世の中が動いてきているのを感じる。

なのに、この値段???

うち2つは私の専門の業界ではないので、値段について判断できず、とりあえず対応できそうな子に話をしてみた。

「大学生がやる値段ね」

もう一つは「駆け出しの人にお願いしてくださいな」とけんもほろろ。

私が依頼する仕事は「安い」という印象を持たれたら損。

自分が判断できないことは関わらないと決めました。

 

が、最近、撮影や取材でも「は?」と思う値段があって驚く。

先日は、2日にわたる専門知識を要する取材に立ち会い、6Pの報告書を作成してほしいという依頼があった。

先方は6人の座談会をするという。

スケジュールは、1日目はいけるけれど、2日目は行けない。

すると担当者は録音と、可能ならビデオも回して渡すので何とかしてくれないか、と言ってきた。

しかもスケジュールは超・タイトだった。

6人の座談会となると、弊社ではある程度の基準をもうけている。

2日にわたる内容を聞き取る時間、原稿にする時間を勘案すると、おのずと値段がでてくる。

しかも超特急となれば、悪いけれど特急料金も加算させてもらいたい。

して、先方の言い値が、弊社規定の1P分・・・。

内容をきちんと聞かないままに、それも電話だけだったので、あわててメールをする。

この値段は、1P分ですよね??と・・・

先方はあわてて、2倍の金額を言ってきたが、それでもとうてい合わない。

「断ってくださっていいですよ」といわれたので丁重に断った。

 

つまりはその値段で受けることができる人がいるということだ。

そういう人がいるから、値段が下がる。

が、しかし、そもそも、そんな値段で発注できると思っていることが不思議。

断ってしまった人は、もう私には依頼してこないだろうし、それで困ることもないだろうけれど、自分の仕事にプライドを持っていかないと、安かろう悪かろうは誰も幸せにならないと思っている。