「おもしろい活動がある」と、毎週土曜の朝5時から清掃活動を続けるグループを紹介された。
よく聞けば次回が50回目だという。
すぐに企画提案し、取材に行くことにした。
よりによってその日は未明から土砂降りの雨予報。
代表者に「中止でしょうか」と聞くと、「私達のモットーは『例外を作らない』なので、雨でも活動はあります」との返事。
腹をくくったわたしは雨合羽を着て、字がにじまないよう鉛筆を握って、朝4時45分に集合場所のJR西条駅へ行った。
駅前には、10人ほどが集まっていた。
会社経営者、会社員、主婦、大学生・・・。
朝5時だというのに、みんな楽しそうに会話しながらゴミを拾っていく。
ここでは肩書きは関係ない。
「自分たちが住んでいる地域に恩返し」との気持ちがあればいいそうだ。
びしょ濡れになりながら、私は取材を忘れて1時間以上、一緒にゴミを拾った。
「記事のおかげで参加者が増えた」と連絡をもらい、その後も誘われて数回参加した。
清掃活動に参加する人はみな何かしら特技やエピソードを持っていて、情報が欲しい私にはありがたく、たくさんのご縁ができた。
そして、ただただその場が心地よかった。
次第に「私が住んでいる地域でこの活動をしたらどうか」と思うようになった私は、代表者に相談し、住まいのある八本松町に支部を立ち上げた。
無理をしては続かないのは分かっていたから、活動は毎月第一土曜のみ。
雨が降ると大変なので、八本松支部は「雨天中止」とした。
離れたところから参加する人のために駐車場がいるが、ただの一市民の私に、地域の商業施設が駐車場の利用許可を出してくれ、感謝の気持ちでいっぱいになった。
記念すべき第一回は、2012年9月。仲のいい友達たちを誘って4人でスタートした。
これまでの参加者は、友達を誘って参加する人、本部と支部どちらも参加する人、肩書もさまざま。
皆が、ただ「地域清掃」だけでつながって、私の立ち上げた支部を支えてくれている。
見返りを求めないボランティアだが、うれしいこともあった。
長きにわたり地域清掃をしていることを知った自治会が、私の活動をバックアップしたいと申し出てくれたのだ。
些少の活動費が出ることになり、おかげで参加者にジュースやコーヒーを出すことも、指定ゴミ袋を購入することもできるようになった。
地域に認められたような気がして、感謝の気持ちでいっぱいになった。
八本松支部は、9月に創立10年を迎える。
清掃が縁で知り合った社長がことわざを引用し、私に「10年偉大なり、20年畏るべし、30年歴史なる。頑張れ」と言ってくれたことがある。
10年は確かに偉大だが、私1人ではとうてい続ける気力がなかったと思う。
10年目の清掃には「皆と歩んだ10年偉大なり」と、感謝を込めて伝えたい。
(えんぴつの花 寄稿)