「どれくらい書いているのですか」と聞かれる
旅に出たりしないかぎり、毎日書いている
毎日依頼があるなんて幸せだと思う
対価は決して安くはないのに


年間500件から1000件は書いていると思うけれど、数えたことはない
数ではなく、量でもなく、反響や心が動いたか否かを競いたい
それは次の仕事の依頼や、ご紹介でわかるのだと思う
10年くらい前にお渡しした古い名刺を手に、仕事の依頼があることも・・・
1ミリでも覚えてくださってありがとうという気持ちになる
ご紹介いただくと、その方にも、当事者にも感謝の気持ちを返したいと思う

文字を書くことを仕事にして、忙しくさせてもらっている
実績と経験は負けないと思わないと、依頼者に失礼だと言い聞かせる
満足するのではなく、常に研鑽しないといけないとも思う

そんなある日、現役の記者さんに400文字の原稿を見てもらう機会があった
たった400文字なのに「確認したいことがあります」と・・・
「一番言いたいところはどこですか」
1つに絞らないといけませんかと問うと「誤解を生むのを避けたい」と・・・
こういう表現ではどうですか
この単語を言い換えてこれではどうですか
電話口で言われると、目で文字を追うのとは違って判断がつかない

一方で違う感覚もあった
ほしい言葉を取りに来るってこんな感じなのか・・・
自分のインタビューを振り返る
相手が迷っているとき、逡巡する時間をとっているか
安心させているか
質問の理由は何なのかちゃんと言っているか


そして

ちゃんと軸のある文になっているか

400文字は長いようで短く短いようで長い
かつて私の下で修業したライターさんが「門田さんには不安なところを全て突っ込まれます」と言ってきたことがある
そう、あやふやな点は、外から見るとよく分かるのだ

プロ中のプロからの確認は、私に大きな気づきをもたらしてくれた
この年になって意見を言ってくださることはなかなかない
そんな機会があったことに感謝する


同時に、趣味の場、学びの場で、私に対し、忌憚ない恐ろしい「本音」を言ってくれる人がいることは幸せだと痛感する